皮膚・アレルギー科

その皮膚病は、皮膚だけが原因なのでしょうか。
当院では、院長が「獣医アトピー・アレルギー・免疫学会」「日本獣医皮膚科学会」「耳研究会VEP」に所属しており、皮膚病やアレルギーの治療に力を入れています。特に、アレルギー治療には力を注いでおり、AACL(動物アレルギー検査株式会社)のアレルギー検査を重視し、その検査結果を正しく解釈することを長年にわたって勉強してきました。これにより犬はアレルゲン(アレルギーを起こす原因)について的確に診断を下すことが可能となり、副作用のほとんど起きない安全な減感作療法を実施できるようになっています。
猫でも食物やアトピー等のアレルギー検査があるようですが、「獣医アトピー・アレルギー・免疫学会」では、それはまだ有効では無いとの見解を出しています。
「当院ならではの複合治療をしないと皮膚は治らないことがある」と考えています。

皮膚を治すには、実は身体全体の免疫を下げている原因を探し出すことが、とても重要です。例えば、口周りや顔の炎症は、実は歯から来ているかもしれません。首や口周りの炎症・痒み・傷も、耳の感染からかもしれません。猫に特徴的な腹部や背部等のグルーミング過剰と思われる脱毛は、膀胱炎から来ていたこともあります。(猫の尿検査をお勧めします。尿検査のぺージもぜひご覧ください。それらを疑ったうえで診察に当たります。(歯や耳も気になる方は、歯科・口腔外科、耳鼻科のページもぜひご覧ください)
口の中や耳の奥に感染があれば、猫は痒くなくても「代替え行動」として、腹部や顔や耳を舐めたり、毛繕いのようなことをする場合もあります。ですが、それらの除外診断なしに、症状の原因を「ストレス行動から来ている」と診断されて精神安定剤とステロイド剤を使っていた猫もたくさん来られます。皮膚のトラブルだけで精神安定剤を使う必要がある症例は、実は非常に少ないのではないかと思います。
それらの猫の歯科における診断は果たして、きちんとできているのでしょうか?2歳以上の猫の80%がかかっていると言われる歯周病の診断は、①歯全体の歯周ポケット測定 ②歯科専用のレントゲン撮影が欠かせませんが、それらの処置は麻酔無しではできず、猫の歯科に詳しい獣医師の診断が必要です。
また、耳の病気の診断も、きちんとできているでしょうか?猫の鼓膜は人よりずっと深くて、麻酔をしないと鼓膜まで見ることはできず、一般的な手持ちの耳の検査機械では拡大率が不足して確認がきません。耳の内視鏡(オトスコープ)で見ないと、たくさんの見落としがあることが最近では判っています。
感染している部位があれば、まずそこから治療します。
表面の皮膚だけにいくら投薬しても治療が無理なことは判っていただけたのではないでしょうか。
「今まで、ずっと飲んでいたステロイド、抗生物質が要らなくなった」
「若い時より、ずっと皮膚が綺麗になって毛がふさふさになった!」
そんなうれしい声をお聞きする一方で、
「もっと綺麗な皮膚にしてあげたいから、スキンケアを知りたい」
「かゆみ止めの新薬を飲んでいるが大丈夫でしょうか?」
「食物アレルギーと診断されて、除去食をしているがこれで良いの?」
そんな声もお聞きします。さまざまな学会や研究会に入って勉強してきたことでいろいろなことが繋がり、「猫を本当に健康にするには?」ということを、当院の熱心な飼い主さんと一緒に考えてやってまいりました。猫ちゃんの皮膚のことで気になることがありましたら、ぜひ一度ご来院いただき、その輪に入ってみませんか。