小型犬、特に最近は中高年のダックス犬に多いのですが

「くしゃみをする」と診察に行くと 獣医さんから 「花粉症とかアレルギーかもしれませんね」とか

「鼻から膿がでた」と 動物病院にいき、獣医さんから「鼻の蓄膿症」と言われたという

飼い主さん達から、当院のホームページやブログを診たとかで来院される方が

大勢おられます。

例えば この12歳のダックスさん 女の子ワンちゃん

と実は10歳の息子ワンちゃんもだったのですが

鼻汁がずっと出ていて困っていたそうです

 

大きな動物病院で診察をうけ

「ちくのう症ですね」とずっと抗生物質を飲んでいたそうなのですが

治らずでした

 

飼い主さんはこのままでは 治らない!と

当院のホームページ等をみて当院に来院されたのです

 

すると 以前歯石除去をしたあと、歯磨きに目覚められ

きれいに 歯磨きされ歯石は 見かけではほとんどついていませんでしたが

犬歯の歯の根っこである象牙の部分も露出していたり

 

麻酔をして プロープという歯周ポケットを測定する道具で

上の犬歯の内側を 調べてみると

 

歯周ポケットの深さ =歯周炎のひどさ を測定する

プロープという白い 緑や赤のマークがついたのは 先端から緑の部分が約3ミリ その上の白い部分も3ミリ 赤い狭い部分が1ミリ

その上の白い部分が2ミリ その上の赤い広い部分が3ミリと 一目で歯周ポケットの深さを測定できるようになっています。

この画像では3ミリ+3ミリ+1ミリ+2ミリ+3ミリで合計12ミリですが

実際は赤い部分も全部埋まってしまう感じで 貫通している感じでした

 

 

 

犬の歯、特に小型犬は大型犬から改良されたので

体は小さくても、歯はあまり小さく改良できず、歯が大きいのが特徴です。

 

たとえば このダックスさんは5キロ位でしたが

人の親知らずと この犬の犬歯を比較してみたことがあります

画像が切れてしまって 見づらくて申し訳ないのですが

左がダックスの犬歯です。約4センチあります 右が私の娘の親知らずです

歯科大で抜歯してもらったものです。身長は155センチくらいで体重は50キロくらいです

親知らずが1センチ5ミリでした。

 

どうですか 5キロのダックスさんの歯の方が 断然大きいですね

 

この犬歯の内側の歯周ポケットが深くなってしまう理由としては

犬の上の顎の硬口蓋ひだというひだが深くて 歯周病菌であるプラークが歯の根の中にたまっていきやすい構造となっています

そして 犬歯が太く長いのと 犬の顔の骨の構造から

犬歯やその後ろの歯が歯周病になると、鼻の骨を破って貫通し

歯周病菌が鼻の中に入ってしまうのです

犬歯から鼻の中までの骨の薄さは

小型犬だと1ミリ ゴールデン位の大型犬でも5ミリもありません

ですから 上の犬歯の内側が歯周炎が酷くなり 歯周ポケットが深くなると 鼻に貫通して

鼻から膿がでたり、中に溜まってしまうのです

膿が出るまでいかなくても、「くしゃみ」 という症状が現れることも 多くあります。

 

これは 普通のレントゲンや 実は獣医大学病院や高度医療動物病院などで撮影するCTでも検出できないことが多いのです

普通のレントゲンだと 横縦ともに 上下や左右の骨や歯が重なってしまいます

CTでも、実は日本にはまだ歯科専用CTはどこにも導入されていないので 人用のCTであるため

輪切り撮影したあと 合成するため 歯の周りの細かな組織とか いわゆる歯周炎とかは 判らないと

動物歯科の勉強会で習いました

 

歯科専用レントゲンでも 歯周ポケットは3Dの世界なので 歯周病で鼻の骨が溶けるのが一部だと

撮影は難しいのです

この犬は 前歯が折れていた症例ですが

歯科レントゲンだとこんな感じに撮影されます

 

以前 プードルさんで 犬歯が抜けて 片方の口の中に穴が空いているというワンちゃんがきました

 

もう片方は抜けていませんでしたが

歯科レントゲンでは かなり上の顎というか 頭の骨の鼻の部分の骨が腐って溶けてしまっています

 

くしゃみは 良くしていたそうです

上の 犬歯の歯周炎がひどくはなかった犬と比べると さすがにコレくらいひどいと

わかりやすいですが

 

下の顎は 下の歯の第一後臼臼歯の歯周炎でほぼ 顎の骨は折れかけていました。

 

くしゃみをした犬が アレルギーと診断されたり

鼻から膿がでる犬を 蓄膿症と 獣医さん達がなぜ 診断してしまうのか?ですが

 

 

実は日本の獣医大学は6年制ですが、医学部と同じように

歯科の基礎授業がカリキュラムに入っていないのです。

 

なので、獣医師は基本 卒業した時点では

私もそうでしたが、歯については 犬猫の歯の本数を知っている位が普通だと思います

 

一部 特別に 1単位だけ歯の授業を認めてもらっている獣医大学が数校あるようですが

それも1単位とかで、基本1単位の授業科目を45時間の学修となっているようです

 

私は?といえば、卒業したての頃は 勤務先の動物病院で

超音波スケーラーの使い方を10分ほど教えてもらい、

 

麻酔したときとかに ついでに「歯石とっておいて」と言われ、歯石を取ったり

あんなの 無麻酔でも 優しく犬猫達にせっしたら 歯石位とれるよと、診察中に 犬猫達のついた

歯石を カリカリとサービスだと取ってあげたり していました。

 

その後28年位前にアメリカ獣医歯科専門医の先生の講義を受け

「犬猫も人と同じように、歯の治療や口腔外科ができるんだ」とびっくりし

その後 他のアメリカ獣医歯科専門医の先生の勉強会に入れていただき

歯や顎などの構造や器具の使い方の基礎から学ばせていただいたり、

獣医アメリカ歯科学会でも、実習でトレーニングコースが

実施されているのて、学会のあるたびに受講し

ちょうど、その頃アメリカでテロがあり飛行機をビルに

激突した直後だったたしたときもあったのですが

数年かけて全過程を終了しました。

今もその勉強会で学ばせていただいています。

あと獣医顎顔面口腔外科研究会というのでも勉強させていただいたり

犬猫だけでなく、うさぎなどの歯科も勉強したり

犬猫だけでも

歯周病だけでなく 歯を折ったり欠けたりしても

治療したり

矯正や口の中の顎や舌の腫瘍なども

獣医歯科では関係してきます。

1999年位の初期の頃に小動物歯科研究会でも レベル1から4まで

4日間の授業をうけたり4日間の実習をうけたりと

最終トレーニングコースまで基礎を学んだりもしてきました。

獣医大学は 農林水産省の管轄なのですが

獣医大での歯科の基礎授業は指導者不足ということで

却下されたと 関係者の先生からお聞きしたことがあります

 

ただ、歯石をとるということは

動物病院全般で実施されている現状がありますが

歯周炎の検査道具である

歯科専用レントゲンは 数年前の調べでも

開業動物病院が 当時で約1万軒あった中で

歯科専用レントゲン所有台数が 800台だったという報告もあります

 

外科の得意な動物病院ではCTで歯周炎を診断しようとされ

学会でも報告されたりしていますが

歯科の仲間の先生たちは、歯科レントゲンで診断するように

よく学会の中でのコメントとして 注意喚起をされいるのを 時々拝見しています

 

歯科レントゲン撮影は 普通のレントゲンと違って

人の歯科も同じなようですが

2等分面法など、特殊な撮影方法を勉強しないといけません

 

まず 歯科を勉強するにも 歯科専用レントゲンを購入して

習ってからも 練習していかないと

治療にはそれに 人の歯科と同じような

高速タービンなどの デンタルユニットが必要となります。

 

まずは

くしゃみがでる

鼻から膿がでる

 

ワンちゃんのいる飼い主さんから

「全国ではどこの動物病院できちんとした歯科をやってもらえるのでしょうか?」

と聞かれることが 良くあります。

仲間の先生同士でも、お互いの技術は様々です。

ですが、獣医さんに 歯科も勉強したいと聞かれたら

まずは 歯科レントゲン とプロープを買って

頭の骨のモデルとかで撮影の練習をしたり

歯石除去をされたときにプロープを使って

歯周ポケットをきちんと測定することから

スタートされつつ、小動物歯科研究会などの勉強会で

基礎を学ぶことをお勧めしています。

 

ですから

そのかかりつけの動物病院に

そのような設備があるか?も

実はそこの獣医師の先生が

歯科を勉強しようとされているか

または歯科を勉強しておられ 実践されているのか

の 大切な目安になると感じています

 

いかがでしょうか

そのくしゃみは きっとアレルギーの薬や抗菌剤を飲んでも

あまり止まることはなく

鼻からの膿は 抗菌剤をいくら

続けても、少し止まったとしても

根治にはいたらないと思います

 

いくら怖がりさんでも

当院では、私は 元々 怖がりの犬猫達に

問題行動治療をしたりする犬猫心療内科や

犬のトレーニングの資格を持つ獣医師が

歯科も担当しています

 

どんな怖がりも 大丈夫です

 

ぜひ まずは 来院されるか

来院が難しい場合は

ズーム診察や電話診察もしております

 

よかったら診察時間内に

お電話でご予約ください

 

 

0798-20-7007です

 

月曜祝日が休診です。

お盆やすみはありません

 

平日は

朝9じから6時半位まで

日曜は

前日予約された方のみとなっていますので

 

基本夕方18時から19時半までですが

日曜は 都合により 朝診察になったり

休診になったりしておりますので

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どうぞ よろしくお願いいたします。