この日は、日本にただ1人だけおられるアメリカ獣医歯科専門医の先生の勉強会が大阪で開催されるので、参加してきます。
この会には約25年前位から参加させていただいています。当時はまだ先生はアメリカの獣医専門医ではありませんでした。
27年前位にアメリカ人のアメリカ獣医歯科専門医の先生の口腔外科のセミナーが日本で年に1回、合計2回開催され、私は「犬猫にも人と同じ歯科治療が出来るんだ!」と衝撃を受けました。
なぜなら、当時は日本では動物歯科のセミナーどころか、本さえも無かったのです。
当時のことは、話せば長くなるので以下のブログ等参照で!
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日本人で唯一のアメリカ獣医歯科専門医の先生は、東京にご自分の動物病院を持たれておられ、獣医師の紹介でないと治療は受けられないシステムとなっています。
25年前は毎月金曜日、始発の新幹線に乗り東京の先生の病院に行き、歯科治療を見学させていただき、午後から動物歯科の基礎の基礎からご指導いただきました。最初の頃は
メンバーは8人位で、関西から参加しているのは私だけでした。治療の見学以外は先生のマンションの1室が勉強会場だったので、それ以上の人数は部屋に入ることが出来ず、私が休んで他の先生が入られると、私はもう参加できない可能性があると思い、当時幼子が2人いたのですが
子供のことを理由に絶対に休まない!と決めて家族に協力して貰って何が何でも休まず行っていました。
私が開業した頃は他にセミナー会場を借り開催されるようになり、勉強会に参加出来る人数も増やして下さり、数カ月に1回とかに減り、コロナの頃はネットで授業をして下さるようになり、最近は大阪にも来られ
1年に1回位ですが東京と同じ勉強会を開催して下さる
ようになり、楽になりました。
先生からは犬猫の頭部の血管や神経の名称等から学び、歯科道具の名前や研ぎ方、歯科用語等から学びました。
毎月東京に始発でいき、終電で帰るというのを最初は10年間位続けました。
途中、アメリカの獣医歯科学会の実習コースにもその仲間の先生達と三年間参加しました。
実習中はアメリカ人の先生が講師で、ペラペラ話しつつ口腔外科の実習をするのですが、日本でその実習の内容は先生から勉強してあったので、専門用語だけ覚えて、あとは口腔外科の実習トレーニングをするのですが、日本人は私達数名又は私だけだったりするので、先生方も英語を超高速に私には感じただけですが、説明の聞き取りも大変でした。ただし私の先生も時々部屋に回ってきて下さり、アドバイスして下さるのが、地獄に仏の感じで、大変ありがたかったことを今も思い出します。
当時は、日本人だからか、器具を借してと持っていかれてしまって返そうとされない、アメリカ人の方も時々おられました。
でも先生が「日本人として、礼儀正しく、器具も必要ならどうぞ貸して下さい、そきてありがとう!と返却して、キチンと対応するように!」と口を酸っぱく私達に指導して下さったことや、私達日本人がコツコツとトレーニングをしている姿を観て下さったからか、3年目位になると
アメリカ人の周り獣医さんや、動物看護師さんの対応が、優しく礼儀正しくなって来られ
たりもしました。
今度の勉強会のテーマは
・犬猫の唾液腺の疾患
・先生の歯科の2次診療の難治症例等の症例
です。
歯科なので、歯のことだけでは?と思われ易いのですが、
人の歯学部でどこまで習われるかは知らないですが
動物の場合は
首から上で起きることで、耳と目と脳以外は口腔外科領域だったりします。
私は耳もやりますが。
犬猫うさぎの
顎や上顎の腫瘍は
歯の組織も含みますので、これらの腫瘍の手術や
舌にも唾液腺にも腫瘍が出来たりしますが、麻酔をかけて歯が原因なのか他の臓器なのか調べて区別して治療しないといけません。
なので、歯科が専門となると、人の歯医者さんと同じように考えられることは多いのですが、犬猫は虫歯もマレで、殆んどが歯周炎は歯の生えている骨や歯肉の手術をする口腔外科になります。
歯周炎で歯を抜いても、その歯の生えていた歯周病菌で腐った骨を除去し、骨のガタガタも綺麗に骨形成し、歯茎(歯肉)で歯肉フラップを作り、それで骨を覆うということをしないといけないのです。
口腔外科をやる方は椎間板ヘルニアのオペもやることが多いのですが
犬猫の椎間板ヘルニアのオペは1時間位で、重症の犬猫口腔外科になると3時間位はかかることもあり、難易度は断然口腔外科の方だと感じます。
なぜなら、椎間板の手術は、基本大きな動静脈は無いので、出血をそんなに気にしなくても大丈夫なのですが、犬猫うさぎは
の歯の根は人より何倍も深いのです。
多分殆んどの獣医師は、歯科レントゲンも無いまま抜歯されるので、グラグラして抜きやすい歯だけを抜かれておられるようで、抜いた後を拝見しても、歯周病菌で腐った骨の除去や骨形成や歯肉フラップをされておられ無いように見受けられます。
飼い主さんが獣医さんに「歯周病でグラグラした歯が抜けて良かったですね」と言われたとお聞きします
その話しを聞いた、歯科医の先生が「グラグラした歯を抜いただけでは、歯周病は治らないですよ~」と
仰って下さったことがあります。
ですよね
口腔外科で難しいのは、抜歯の後からなのです。
抜歯する時も、先生からは「抜いた場所の骨を歯肉フラップでどう修復するか考えてから
歯肉にメスをいれなさい」と言われてきました。
日本の獣医大学の歯科教育は「歯科の指導出来る人が少ない」ということで、数年前却下されています。
確かに、日本の獣医大学で本格的に動物の歯科を教えられるのは、現状アメリカの獣医歯科専門医の先生しかおられませんが、先生のツテを頼り、アメリカからアメリカ人の獣医歯科専門医の先生達をお呼びして
授業をしていただくと、それは解消出来るのでは?
と以前から思っています。
先生も年齢を重ねておられるので
飼い主さん達が
この日本の動物の歯科の教育状況を知られ、声を上げていただき、少しでも動物達の歯や口をキチンと学ぶ獣医師が増えることを祈っています。
近年歯科を専門と書かれている方も増えましたが
実情は、獣医師向けの歯科の動画配信の勉強を購入されていたり、歯科に強い動物病院に数年勤めておられたり、小動物歯科研究会レベル4まで終わられたりされている場合もありますが、私もレベル4まで終了しましたが、4日間の授業と、4日間の歯科モデルの実技トレーニングとなります。
逆に言えば、歯石除去をするにしても最低限、小動物歯科研究会のコースを受講した上で
歯石除去をされないと、歯周ポケットを測定したり歯科レントゲンも所持しないで、必要性も判らず、歯石除去や抜歯をされている現状は
いつまでも、やめられないのではと感じています。
なぜなら、当院に来院される初心の方は
・毎日歯磨きを欠かさなかった
・獣医さんからは「歯はまだまだ綺麗ですね」と言われていた
・定期的に動物病院で歯石除去を受けていた
方が殆んどだからです。
明日は久々の歯科の勉強会です
夜8時位まで、色々又勉強出来るのが楽しみで、怖い?!です
怖いのは、口の中は麻酔して初めて判ることが多く、
歯の根は骨の中に埋まっていて、
動脈や静脈や神経がとても近いのに目で観て先に止血することも基本できないので
他の手術より、実は大変難しい&怖いのです。
虫歯や歯内療法など歯の治療だけなら、まだまだ楽なんですが。
先生は、口腔外科は軟部外科と整形外科のMIXされた場所であり、身体の中でも他に無い場所だと仰っていました。
私が獣医師人生の中で、一番時間をかけて勉強してきた分野ですので、
仔犬子猫から口のケアをして、重症の歯周病の犬猫を作らない!ことが
私の目標で、ミッションだと思っています。
当院に、仔犬子猫から来院されている西宮の近隣の飼い主さんの犬猫達は、キチンと言うとうりに、小児歯科から歯科のメンテナンスも定期的にされて下さるので、口の中の環境レベルが高いのです。
なんか、先生の言うとうりしてるだけの感じではありますが、人と同じPMTCを生後1歳半位から、歯石は関係なく人と同じように、6ヶ月に1回歯磨きしていてもやり続ける!のが良いんだなぁーと実感させていただいています。
そんな犬猫達には私の奥の手の技術
を披露することは、無いまま一生を終えられたりしています。
麻酔が身体に悪いなら、当院の犬猫達は短命だと思うのですが、逆に元気で長生きだな
と嬉しく感じています。
以前は「歯石を取る以外に、他の動物病院との違いは何なのですか?」
と良く聞かれていましたが、最近は理解していただき易くなりました。
時代が変わってきたんだと思われます。
ただ、獣医さんが口腔外科をトレーニングするには、いまも海外に行かないといけない構造は変わっていません。
犬猫は歯の治療はほぼ、口腔外科になるからです。
新しく獣医さんをメンバーに加えても、口腔外科をトレーニングするには海外に行っていただかないといけないので、中々歯科をやる獣医さんを育てるのも大変
です。すぐには出来るようにならないし、大切な患者さんをすぐに任せるのも難しいですし。
なので、歯周病がひどくならないよう、仔犬子猫から当院でケア!
が一番安く済んで、痛い思いをさせないと思っています。
頑張ります!