今 必要があり院長の過去の履歴を書き出しているところなのですが
ちょうど日本に
・犬猫の行動学
・犬猫の歯科
・犬猫の耳ビデオオトスコープ
この3つの黎明期をそれに関わりつつ
獣医師として変化を肌で感じてきました。
特にアメリカの犬のトレーニングがひろまった30年前位は
『犬を叩かないで躾るなんて!』とびっくりされました。
診察室でも勤務したころは 院長がいうことを聞かず暴れる犬は
裏に連れていって叩くなんてことを、普通でしたが
今では犬を叩くなんて!という日本に変身した感じがしています。
犬猫の歯磨きは 行動学と切っても切れない関係だったのは
たまたまその勉強ができる機会に恵まれたことは
運がよかったなと感じます。
獣医大学では歯の基本の授業が今も
無い大学が大部分であることもあり 歯科の基礎知識のおありになる獣医師もまだまだ少ない為
たとえば 歯科の先生に歯磨き指導をうけても
結局は犬が歯磨きを嫌がって逃げてしまうので
歯磨き教室をされている躾の先生やトレーニングをされている獣医師のところに行かれると,獣医大学では歯の基本の授業が今も
無い大学が大部分であることもあり 歯科の基礎知識のおありになる獣医師もまだまだ少ない為
歯石がついていなくて歯が綺麗だと歯周病は大丈夫!
と獣医師でも 犬が好きな歯科医師さんでも なぜかそう思っておられる感じを受けることがあるのですが
そのため 当院では1歳半から2歳半からスタートして6か月毎に歯石に関係なくやっている予防歯科のPMCTも受診される必要性も感じず,
歯周炎が進行して 鼻から膿が出たり,
顔が腫れたり 歯磨きを嫌がって来院されるまで
歯周炎になっているのに気がつかないことが多々あります。
耳ビデオオトスコープにめぐりあったのも
前の動物病院から来たり 当時やっていた犬の躾教室の飼い主さん達が
私が皆さんの犬の耳は麻酔をして耳の検査道具で診察しても綺麗ですと診断したのに
『犬の耳の悪い仕草は①手をなめる②首をひっかく③頭をふる
と栃木の耳のビデオオトスコープを考案された犬猫の耳の動物病院
の臼井先生がおっしゃっていても,歯科には詳しくはおられないので
そのしぐさは 歯周病だと思います!』とまで私が言ったのに
当院のその飼い主さん達は『やはりうちの犬は耳が悪い気がするので
耳ビデオオトスコープを買ってうちの耳を診てみてほしい』
とおっしゃたので,11年前にしぶしぶ 栃木の犬猫の耳の動物病院
まで臼井先生に、『うちの飼い主さん達が変なことをいうのです』
と東京であった獣医皮膚病学会のあとで,栃木まで相談しにいったのがきっかけです
すると先生は『栃木まで大阪とか神戸や京都から、大学病院や大きな動物病院で耳がひどくなって
手術しかない!と言われたという犬猫たちと飼い主さん達が助けをもとめにきているから,
りえ先生患者さんは必要ならどこからでも来られるから,耳のビデオオトスコープを買っておやりなさいな』
と私の気持ちを押してくださったのです。
それが8月の初旬だったので、かえって機械やさんにお願いしたら ちょうどお盆休みに入って
せかしていただかせて,お盆あけに 飼い主さん達に 『耳ビデオオトスコープが入荷したよ!』
とお知らせして、希望されていた犬たちに 歯科のメンテの時に
耳のビデオオトスコープ検査をどんどんやっていったのが11年前2013年8月なのです。
うちの飼い主さん達ったらーー!
そのころの飼い主さんは 2だい目を飼われたりと
まだ来院されているのですが 『そんなこと言いましたっけねー!
でもあれから ほんと痒がることも なくって目も綺麗なんですよねー』とおっしゃってくださいます。
うちの飼い主さん達は、私の勉強のマイブームを楽しそうに興味深く聞いて
一緒に実践してくださってきて、え!っと思うようなこともおっしゃったりして
おかげで,
今は 耳や歯を綺麗にすると涙やけが治るというのも
学会で発表できる位になりました。
これも 飼い主さん達の動物を愛する気持ちと観察眼と
獣医学の常識などを ぶっ飛ばして ストレートに考えて伝えようとおもう
その感覚のおかげだと思っています
猫の顎の骨折治療も 口をテープで動かなくすることは
食べ物を吐くと誤嚥して 死ぬこともあるとお伝えしたのに
なんとしても家で見たい ちゃんとみるから!との熱意の結果と
静かに治療に協力してくれた猫ちゃんのおかげです
猫の鼻かぜは多いですが,その子猫を拾ってきた犬の飼い主さんが
前の動物病院からの飼い主さんで、ご自分が飼う予定はないのに
CTや耳ビデオオトスコープの費用まで『りえ先生の勉強になるなら!』と
費用を負担してくださり 徹底的に治療をさせてくださったからこそ
はじめてきちんと中耳炎を発見して治療ができ
耳ビデオオトスコープをやっている最中に浮かんできた骨を
獣医大学でしらべていただいたら なんと中耳の 耳小骨のきぬた骨やあぶみ骨で
それが腐って浮かんできていたのも綺麗に撤去しても その猫ちゃんは
耳の感染も治ってしまって 斜頸も治って普通に生活ができるようになったのです。
その時来院されていた子猫さんで鼻がでていた猫サンたちもCT検査をして
1匹 中耳炎が見つかり、一度だけ耳ビデオオトスコープをして治療したのですが
その後麻酔はいやですと 残念ながら転院され 他院で脳炎をおこし亡くったようでした
まだまだ麻酔を怖いと思う飼い主さんがおられ 耳ビデオオトスコープのことも
しらない方ばかりでした。
でもすべてこれられ
飼い主さん達のおかげで かけた論文ばかりです
ご協力いただいた 動物たちと飼い主さん達に
こころからお礼申し上げます!
⓪2001年頃 小動物歯科研究会
兎の下顎腹側部に認められた嚢抱状腺癌
要約
7歳令、メスのうさぎの下顎腹側部に多量の液体貯留が起こるようになった。それによって肢が地面に着かないようになる為に転倒してしまう。無麻酔にて尖刺吸引を3ヶ月毎に繰り返した。その後、全身麻酔にて切開し病理検査を行ない嚢胞状腺癌との所見を得た。当時ウサギの頭部や歯の解剖学などは世界的にも、まだまだ解明されていなかった。
その為、アメリカの獣医歯科専門医の先生と私は関東にある母校の獣医大学で、ウサギの頭部の解剖などを一緒に調べた。その後
先生は『げっ歯類とウサギの臨床歯科学 』という本を – 1999/7/1年アメリカのアメリカの獣医歯科専門医の先生と共著で出版されました。世界でも一番詳しいげっ歯類やうさぎの歯や口の本だと思います
私はその時に日本て出版されたウサギの実験動物用の本から獣医師向けの本をことで下顎腹ひひすす5にはうさぎの臭腺の一つである下顎腺が存在していることを確認し、それが腫瘍化したことへの確信をえることができ、そのウサギさんの腫瘍のその手術を自信をもってすることができました。このことは世界的にみてもこのウサギの下顎腺の腫瘍の報告はまだありませんで、とても珍しい症例でしたが、その後もそんな腫瘍に出会うことはいまだありません。
①2005年頃
動物臨床研究医学会
題名
外傷により顎関節を骨折し不正咬合を起こした猫の1例
(猫の口腔外科領域の発表)
~11歳の猫が喧嘩により、顎の関節を骨折し口が閉じられなくなっていた
のを、アメリカの獣医歯科の専門医の先生のご助言を受けつつ、私が以前の勤務先で上下の犬歯同士をコンポジットレジンという歯の詰め物に使う材料と口をテープで顎を動かせないように固定して治ったという、珍しい症例の発表をしました。
これで治らない場合は、折れた顎の関節を手術で除去してしまわないと
顎が動かせなくなる可能性がありました。
②2013年頃
動物臨床研究医学会
(猫の耳鼻科領域の発表)
題名 鼻炎を呈した幼猫におけるオトスコープとマイクロCTの
有用性に関する検討~その子猫の鼻炎や耳炎は、果たしてそれだけが問題なのか?
要約
当院が耳ビデオオトスコープを導入して間がないころ、猫の鼻かぜと思われる症状で鼻の出て、頭を傾けたままの斜頸という状態だった生後1~2か月位の1キロも無い捨て猫さんを拾ったという犬の飼い主さんの依頼で、その猫を入院して治療していた処,急にその子猫が倒れ死にそうになりました。
まだ1キロもない小さい体で、点滴や抗菌剤も使っていて助けようにも気管チューブも入らない位で、大阪府立大学の先生の脳神経の勉強会で“子犬や猫は耳から脳炎をおこすことがあるので,気楽にステロイドを使わないでくださいね”と言われたことも思いだし、ほぼ死にかけてもいたので手術室に連れっていって無麻酔でビデオオトスコープで耳の鼓膜をみてみたところ、片耳の鼓膜は無く、耳の奥は膿で満ちていました。少しでも脳への圧力などが減ればと耳を生理食塩水で洗浄した処、急に元気になってモリモリ食欲まででてたのです。その後、その子猫を拾った犬の飼い主さんは、ネズミも撮影できるマイクロⅭtを撮影することを許可してくださり,中耳炎になっていることが判明しました。その後何回もビデオオトスコープさせてくださり、
その子猫さんは順調に成長し、他のお家にもらわれていき、去勢手術をしたときにビデオオトスコープで検査してみると、鼓膜は再生していませんでしたが中耳の中は膿も消え綺麗な空洞になって、斜頸も治っていました。
猫の場合、ヘルぺスウイルスによる鼻炎のある猫は多いのですが,
鼻だけだと思っていても、犬と違って猫は人でも子供に多いように鼻の菌の感染が耳管という管を通り,中耳炎をおこし、そこから内耳に感染し脳炎をおこすことがあり,ビデオオトスコープでそれが早期に発見し治療できたという、偶然の結果ではありましたが珍しい症例でした。
③2017年動物臨床研究医学会
題名
社会化をしつつ実施している
当院での仔犬の乳歯から永久歯の歯科検診
要約
近年の犬や猫の口腔衛生への飼い主の方達の関心は増加している。
しかし仔犬や仔猫の口腔の基礎ができていくワクチン以降~去勢や避妊手術を一般的に実施することの多い生後6ヶ月齢位までは来院する機会が少なくなってしまう。その時期は大切な歯の生え替わりと、社会化の時期であるのに、その間に動物1病院を怖がるようになってしまっていたり、歯の萌出や噛み合わせの異常から顎や頭の成長に影響が出ている仔犬や仔猫もいた。
その為、飼い主に事前にその生え換わりの課程と重要性を事前に説明し、仔犬仔猫の歯の来院チエック表を作ることで、役90%の仔犬仔猫が自主的に来院し、それにより的確な時期に歯や顎の成長を適切な時期に判断及び治療する事できるようになった。その症例と動物病院へ社会化と、口腔の診察への馴化も良好となったので当院でのやり方と工夫を報告
④2,022年動物臨床研究医学会
題名 飼い主さんにも協力していただき、犬に動物病院を怖がらせないようにする方(動物の行動学部門)
~1996年に日本動物病院福祉協会(JAHA)の犬躾インストラクターの資格を取った為、これで自分は犬の行動心理が以前よりわかるようになったと感じ、犬の躾教室や通院が難しい犬にカウンセリングなどを提案してみましたが、躾教室に来られるのは 犬の飼い主さんの一部分であるのが実情で、診察中にご褒美などをやろうと試みるも、私や動物病院を怖がる犬はまだまだ多かった
そこで通院して下さっている飼い主さんに
動物病院でやる犬の診察時の持ち方や治療に必要な姿勢を
自宅でシュミレーションして練習することを
宿題としてお教えし、当院での対応を色々工夫していくと
他院で治療不可と言われた犬達も、嫌がらないで通院できるように
なって嬉しいという声が増えたので、そのやり方の一部を学会発表しました
今回、動物病院スタッフの皆様には職場で利用したり、飼い主にも自宅でやれるドリル形式の動画教材を作ってみた
⑤2022年動物臨床研究医学会(犬猫の耳鼻科領域の発表)
演題名
犬の歯周病と耳ビデオオトスコープを使用し耳の感染を治療したことにより、なかなか治癒しなかった犬の皮ふ病や痒み、目やに涙やけ等が改善したことにより、この2つを犬の2大原病巣と考えるようになった経緯
~
(要約)
1999年頃から、犬猫の歯科治療をメインで実施するようになった
歯周病の犬の治療をすると、多くの飼い主さん達から
・皮膚がきれいになった
・毛艶が良くなった
・涙やけがきれいになった
・元気に歩けるようになった
また下痢をしやすかった犬も、しづらくなった
と言われることがあった
その後、2013年より耳のビデオオトスコープ(VOS)を導入し
、当院で定期的に麻酔下にて歯科のPMTCを実施している
犬達で、手持ちの耳鏡での検査で外耳炎はないと思われた
犬の耳をVOSで検査治療すると、80%近くの犬に外耳炎があり
鼓膜が損傷していた犬もいた
その犬達をVOSで治療すると
飼い主達が
・皮膚がきれいになった
・毛艶が良くなった
・涙やけがきれいになった
といい、
そのうちの7割以上の犬が
アレルギー検査の結果を元に実施していた
除去食や投薬等を自主的にやめた飼い主もいた
その後も定期的に歯の治療は毎年継続した。
耳のVOS検査や治療は適宜飼い主さんの要望により
実施したそのことにより,
毛艶や目やにや涙やけが良好なままで維持する
ことができる犬を多く経験した
そのことから、犬の歯周病と耳の感染は 慢性疾患をひきおこす
原病巣として犬の免疫をさげている可能性があるのではと推察された
⑥2022年動物臨床研究医学会
(演題)
飼い主さんにも協力していただき、犬に動物病院を怖がらせないようにする方法
How to help owners keep their dogs from being afraid of veterinary clinics.
演者 渡辺理恵 RIE WATANABE
1)りえ先生のペットの未来クリニック 〒662-0928
兵庫県西宮市石在町10-26
℡ 0798-20-5876 090-1448-2500 FAX 0798-20-5876
E-mail pet.no.mirai@gmail.com
(要約)
ある日来院を嫌がる犬の飼い主さんには「先生は痛いお注射ばかりするから、嫌いになるよね!」と言われた
その時は、内心「仕事だから仕方ないし」と思った
でもそれから、どうやったら
犬が来院を怖がるようにさせないで良いかの試行錯誤が始まった
1996年に日本動物病院福祉協会(JAHA)の犬躾インストラクターの資格を取り
これで自分は犬の行動心理が以前よりわかるようになったと感じた
早速犬の躾教室や通院が難しい犬にカウンセリングなどを提案してみましたが、躾教室に来られるのは 犬の飼い主さんの一部分であるのが実情で、診察中にご褒美などをやろうと試みるも、私や動物病院を怖がる犬はまだまだ多かった
そこで通院して下さっている飼い主さんに
動物病院でやる犬の診察時の持ち方や治療に必要な姿勢を
自宅でシュミレーションして練習することを
宿題としてお教えし、当院での対応を色々工夫していくと
他院で治療不可と言われた犬達も、嫌がらないで通院できるように
なって嬉しいという声が増えた
今回、動物病院スタッフの皆様には職場で利用したり、飼い主にも自宅でやれるドリル形式の動画教材を作ってみた
⑦2023年小動物歯科研究会 (犬の歯科領域)
(題名)犬の歯(口)に健康を守る玩具選びと指導の必要性についてお
犬の歯の健康は、飼い主さんにとって重要な懸念事項である。そのため、歯に良いと思って硬いおやつや玩具を与えることで歯を折る症例が後を絶たず、多くの飼い主さんが犬の歯は人より強靭だと誤解している。この誤解は、ペット業界や一部の歯科医師や獣医師達の情報なども影響していることが考えられる。しかし、硬い食べ物が天然の歯ブラシとして機能するという古い考え方は、犬の歯の健康にとって必ずしも最適ではない。そのような症例と指導方法についての発表
⑧2024 動物臨床研究医学会
(題名)犬の涙焼けと耳ビデオオトスコ-プ治療
(要約)
往来涙やけは流涙症と呼ばれることが多くトイ犬種やミニチュア犬種で多くみられる症状であると言われている。
原因としては 眼瞼の解剖学的異常に起因して、涙液が正常な排泄経路を逸脱する。主な原因は、涙丘の被毛、浅い涙湖、眼瞼内反症(内眼角)である。流涙により、眼表面の涙液が不足し角膜障害を伴うことがあると記されていることが多いと書かれている。また治療法としては鼻涙管の閉塞には鼻涙管洗浄などを実施し開通させたりすることが一般的にしられている 参考文献3)
また 流涙症はマイボ-ム腺機能低下症(MGD)でも起きるとされ、改良型内眼角形成術(MMC)にてマイボーム腺機能の回復を促す外科手術も実施され改善を認められたり それ以外にも眼瞼炎、霰粒腫、濾胞性結膜炎なども流涙症の原因になることがあったり、 流涙症のすべてが 涙管洗浄やMGDの治療やMMCなどの外科手術が適応になるわけでもなく流涙症の診、治療には注意が必要であるときされている。参考文献10)
当院では最初、歯周炎の口腔外科治療後に数匹の犬の飼い主達が歯科治療をすると 涙やけが改善し皮膚が綺麗になったと喜ばれ、その後耳VOS治療を実施すると同じように飼い主の方々から目やにや涙やけの改善例を多数聞くようになった